2012年、32歳

西暦2012年、平成24年、皇紀2672年の5月4日という日はとても穏やかに過ぎていった。


ベルリンの天気は予報通り晴れて、時折大きな雲に陽の光を遮られたけど、暑すぎず、過ごし易かった。


僕は朝9時頃に目が覚め、いつものようにニュースをチェック。新種のシーラカンスの化石がカナダで発見されたらしい。シーラカンスと言えば、3億2000万年前からその形を留めていて、生きた化石と呼ばれる。彼らの存在自体が大昔の世界を体現しているのだから、なんとロマンがある話だろうか。彼らが海の中で悠々と時を刻む間、世界は随分変わってしまった。


次にメールをチェック。驚いたことにfacebookを通じて数多くのお祝いメッセージが。やっぱfacebook、バカに出来ない。



そしてテンペルホフ公園にインラインスケートを持って出掛ける。最近買ったばかりで、今回で2回目になるのだけど、小学生の頃に冬になるといつもアイススケートをしていたのを身体が覚えていて、意外にすんなり滑れるようになった。


途中、ベンチに仰向けになって、大空を見上げる。テンペルホフ公園は周りを遮るものが何も無いので、一面大空だ。大地に大きな影が出来て、それが僕の上を通って去って行く。影を作る雲の、蒸気が揺らめく様は美しい。


本当に気持ちがいい。



家に戻ってシャワーを浴びようと思ったら、排水溝が詰り気味なのに気付いてキレイに掃除する。排水溝の入り口が螺子で外れるようになっているのを初めて知って、ドライバーを持って来て外してみる。これで水も以前に比べて勢い良く流れていくようになった。


シャワーの後、ご飯を炊いて野菜炒めを作る。玉葱と茄子とピーマン、そして挽肉。大体いつも同じ具材で飽きもせず作る。出来たのはバルコニーに持って行って、春の暖かい空気を吸いながら、食べる。随分と穏やかな日常だ。



さて、今日は事務所で仕事をしよう。パソコンをリュックに入れて、自転車で事務所に向かう。テンペルホフ公園を通り、ハーゼンハイデ公園を通り、そして毎週金曜日に開催されるトルコ市場を横目に見ながら自転車のペダルをこぐ。


事務所の人からも誕生日おめでとうと言われ、ありがとうと答えて仕事を始める。


途中、電話が鳴り、向こう側でピアノの生演奏付きのハッピーバースデーソング。色んなバリエーションで唄ってくれて楽し嬉しかったです。


誕生日のお陰か、今日はサクサク仕事が終わって、帰る時間になっても外はまだまだ明るい。いつもと違う道を通って帰ってみよう。ああ、この道はこの道に繋がっていて、この道を通った方が近いのか。



そうこうしながら、毎日のように利用しているいつものカフェに到着。テンペルホフ公園の入り口から直ぐの所。今日はホウレン草のキッシュを食べてみよう。うん、美味しい。そしていつものハーブティ。今日は週末でしかも天気がいいので外が騒がしい。そんな中で暗くて人気の少ない店内でパチパチ書き物。


と、ここで友達から電話。電波が悪くて何度掛けても繋がらなかったと。ネットで知った情報なので面白いか分からないけど、これからパントマイムを見に行きます。


特別何か変わった事は無いけれど、それでいいと思う。この一見すると変わりの無い日常を大切に感じようと、そう強く思えた1日でした。


誕生日、皆さん生かしてくれてありがとう。




※皇紀とは神武天皇即位の年を元年と定めた紀元だそうで、時代毎に変わる年号に比べて、日本の歴史そのものを表している年号です。こんな大切な暦なのに僕を含めて意外と知られていないのが残念。(「皇紀」Weblio参照

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